恋に一番近くて遠い君
「でもさ中学校の借り人競争で好きな人ってお題でお前が連れていかれるとこを見た時行くなって引き止めたかった」



借り人競争?
そういえば違うクラスの子に一緒に来てほしいって言われたんだっけ。
その時確か陸玖に誤解されたくなくて何度も振り返ったっけ。


「それでも俺はお前とはただ幼馴染みってだけで、何度も振り返りながら引っ張られていくお前を見てるだけしか出来なかった」



あの後そのままその子に校舎裏に連れてかれて告白されたんだ。
もちろん好きな人がいるからって理由で断ったけど、それから陸玖とは数週間あまり喋らなかった。



「その時気づいたんだよ。いやほんとはもっと前からだったのかもしれない」


すると陸玖が私の頬に添えていた手を離してその手で私の手をぎゅっと握った。



どきっとして心臓の鼓動が速くなった。


陸玖のいつもと違う真剣な目に恥ずかしくて逸らしたくなったけど逸らせなかった。




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