あいつの前に(仮)
新たな出会い
ある一流ホテルの最上階、スイートルーム。そこに住んでいる20代後半の男性、そしてそのホテルの経営者である若くして社長に昇任した来月三十路を迎える女性が、その一室にいた。
時刻は夜の8時を回ろうとしている。
―今日も月あかりがきれいだ。それに照らされる彼女の背中のラインも。
時間がこのまま止まればいいのに、そう何度俺は願ったことか。