7colors
「もー、捜したんだよー」
いや、「もー」と言われても捜されてるの知らないから、と心の中でツッコミを入れつつ謝る。
「あ、ごめん…。で、何か俺に用だった?」

屋上にやって来たのは、噂の転校生だった。
名前は町田里子(まちださとこ)。
確かに可愛い。『タレントです』って言われても頷ける。

町田さんはビニール袋を提げているのと逆の手で持っていたものを俺に見せる。
「これ、赤間君のでしょ?教室の前に落ちてたよー」
彼女が見せたもの…それは見覚えのあるものだった。
あれは間違いなく俺の財布である。
「そう!ありがとう」
「やっぱりねー。はい」
町田さんからそれを受けとる。
「でもよく分かったね」
俺がそう言うと、町田さんは俺の財布から垂れ下がるものを指さして言った。
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