もう一度あなたに恋をした。




もう10月に入ったからなのか、あるいは地上より高い位置にいるせいか、こんなに寒かったっけ?と思うほどの冷たい秋風が吹いて、髪の毛がサラサラとなびく。


ちょっと肌寒い気もするが、ひんやりした風がズキズキした頭にちょうどよくて、しばらくここで過ごそうと決めていつもの定位置に腰と鞄を下ろす。



お気に入りの曲でも聞こうと思い、鞄のポケットに入れた手がイヤホンを探るのとほぼ同時に、すぐ近くで何かが落ちる物音がした。



いきなりの物音に驚いて、ひっ!と小さく悲鳴を漏らす。


え?…布?


よく見ると2メートルほど隣に落ちたそれは…淡いピンク色のハンカチ。


拾って見れば、端っこに”M”のイニシャルの刺繍が入ってるのが分かった。



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