もう一度あなたに恋をした。




なんだ…抱き付いてくるほどラブラブじゃない…


気にしちゃって、バッカみたい。


佐伯くんのあの悲しそうな、苦しそうな顔は…ただの喧嘩しただけのものだったんだろう。



そうだよね、あのハンカチ…本当に大事そうにしてたもん。


いたはずなんだよ、彼女なんて。




佐伯くんの事…名前で呼んでた。


それは佐伯くんの”特別”だから出来ること。




あはは…ほんとに馬鹿じゃん、あたし。


最初っから、あたしの入る隙なんて…無かったのかもね。




まだ想いも伝えてないのに、呆気なく終わった恋。





ちゃんと…ちゃんと好きだったのに。



今まで”暇潰し”してきたツケが回ってきたのかな…




自嘲気味な掠れた笑いが漏れてくる。



ねぇ、あの子にもあの優しい声で名前呼ぶの?

あの子がピンチの時、助けるの?
あたしが乗った自転車の荷台は、本当はあの子専用だった?




あたしにしたみたいに…あの子にも



「行くな」って言って引き止めるの?ーーーーー

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