もう一度あなたに恋をした。
なんだ…勘違いだったのか…
と、ホッとしたのも束の間。
そうなると、一番の疑問が残ることになる。
「じゃあ…ハンカチの”M”は誰?あのハンカチは、誰のなの?」
ドキドキしながら答えを待つ。
佐伯くんの目が泳ぐのを、あたしは見逃さなかった。
「…先輩には、まだ言えません。」
そう言った佐伯くんは、また”あの表情”で。
「正確に言うと…まだ言う時じゃないんです。」
言い聞かせるように、抱きしめたままのあたしの頭をポンポンと撫でる。
それから少し離れて、腑に落ちないあたしの目をしっかりと見て。
「”その時”が来たら…必ず言います。だから、もう少し待っててもらえますか?」
…ゆっくりと頷く。
真剣なその表情に、信じようと思えた。
もう、”M”が誰だっていい。なんて思えてきた。
だって今、佐伯くんの腕の中にいれる事が、何よりも幸せで…