もう一度あなたに恋をした。




小さく溜め息をついて、ハシゴをゆっくりと下りきり、元いた屋上の地に足がついた瞬間。







「あ、先輩。」




声がした上方向を見上げると、男の子が起き上がってあたしを見下ろしていた。

栗色の綺麗な髪の毛が太陽に反射してキラキラと輝いていて、眩しくて思わず目を細める。





「俺、佐伯雄介っす。覚えておいてください。」



そう言って真っ白な歯を覗かせながらにっこり笑うその笑顔を改めて見ると、男の子…佐伯くんはすっごい美少年ってことが分かった。





「佐伯くん、もう彼女のハンカチ落としちゃだめだよ。」



屋上の扉に手をかけながら言うと、佐伯くんは何故か切なげで…今にも泣き出しそうな顔をして笑って頷いた。









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