もう一度あなたに恋をした。





「でも、告白断る時は『今誰かと付き合う気はない』って答えるらしいよ?いるならいるって言えばいいのにね〜!」


パチンと鏡を閉じる雅は、イケメンには目がない。学校中のイケメンの情報はいち早くキャッチしておきたいタイプらしい。



「あたしが拾ったハンカチに、”M”って刺繍してあったし、大事そうにポケットに入れてたし…やっぱ本当にいるんだろうね〜。」


「え?まさか紫穂、佐伯くんに惚れた?」



目を見開いて顔をズイズイ近づけてくる雅の顔は、ちょっと面白がってそう。



「違う違う、何であんな曖昧な答え方したんだろうって気になっただけ!」



なぁんだ、と残念そうに身を引く。
そりゃそうよ。初めて話したし、ただハンカチ拾ってあげただけだし。



「紫穂が惚れるぐらいの人がついに現れたかと思って、一瞬びっくりしちゃった!」


そう言って意地悪く微笑む雅は、やっぱり悔しいぐらいに可愛い。





あたしの”暇潰し事情”の全てを把握してるのも、雅だけだ。





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