もう一度あなたに恋をした。
「どうぞ。」
戻ってきた佐伯くんが差し出したのは、あったかいミルクココア。
「ありがとう。」
受け取るとにっこり笑い、隣に人ひとり分空けて佐伯くんが腰を下ろすと、自分の分のコーラの缶を開ける。
暗くなって風も冷たさを増したせいで冷えた頬に、ココアの缶を当ててその温もりにホッとする。
「先輩、別れたんですね。拓海先輩と。」
ふと佐伯くんを見ると、少し真剣な顔をして遠くを見ていた。その表情にどういうテンションで答えたらいいか一瞬迷った。
「う、うん…なんか合わなくて…あはは。」
本当の事を何故か言う気になれなかった。
「あんな奴は、別れて正解っす。」