もう一度あなたに恋をした。
…どういう意味?
って聞こうとしたのを、止めた。
佐伯くんがいきなり立ち上がったから。
「…そろそろ帰りましょうか。」
付き合ってくれてありがとうございました。と、微笑む佐伯くんの表情には、もう切なさは感じなかった。
「うん、そうだね。」
すっかり温かさを無くした未開封のココア缶を握りしめて、立ち上がった。
ふと空を見上げる。
肌寒さを感じる10月の夜の空は思ってたよりもくすんでて、まるであたしの心のモヤモヤみたいに、黒い雲が月を覆って離さない。