もう一度あなたに恋をした。
すると、ふと佐伯くんがこっちを向いた。
…といっても、女子集団のかなり後ろにいるあたしなんか気付いてはもらえないだろうけど。
「え、うそ!!こっち向いた!!」
「え!私?今、私を見たよね?!!」
「違うわよ!私に決まってるじゃない!」
ぎゃあぎゃあ言い争い始める女子たちを佐伯くんは、冷ややかな目で見つめた後、視線を逸らした。
「やだ、佐伯くんってば、照れちゃって!」
「可愛い〜〜〜!!!」
いやいや、あの顔見てみなよ。心底うんざりしてるじゃない。
女子集団を見る目があたしまで冷ややかになったのだった。
”人気ねぇ…正直困るだけなんすけどね。”
佐伯くんの言う意味が分かる気がした。