もう一度あなたに恋をした。
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連れてこられたのは、サッカー部の部室の裏側。
いまだに掴まれた手から佐伯くんの温もりが直に伝わって、恥ずかしくなる。
「あの、佐伯くん…手…」
「あっ、すいません。」
パッと解放されて、あたしから言ったくせにちょっとだけ寂しくなる。
「先輩。ここ、死角になってて誰も気付かないんで、ここで少し待っててもらえます?光の速さで着替えて来ます!」
と、明らかに無理難題な言葉を残し、部室へダッシュした佐伯くんの背中を見て、思わず笑う。
……結局、佐伯くんは戻ってくるまでに5分という、光の速さにしては遅すぎる時間をかけたなんて、本人には黙っておいてあげよう。