もう一度あなたに恋をした。




「…理由?言ったじゃない。あんたのお遊びに付き合ってるのも、もう限界なの。二度と連絡してこないで。じゃあね。」



これだけバッサリと言えば大丈夫だろう、と思いながら教室へと足を進めると、背後からは怒りと悔しさを混じり合わせたかのような元カレの声が聞こえた…気がした。



…こんな事はあたしにとって珍しくもなんともない。来る者拒まずにしてるだけ。去るのも毎回あたし。


男はただの暇潰し。ほんとにただそれだけ。


学生のうちは遊びなさい、っていう叔母さんの言葉を鵜呑みにしてるわけでもなく、ただほんとに興味がないだけ。


感情が冷めてるのか、誰かに対して好きだとかそばにいたい、だとか思った事がない。

いや、そう思えるような男が現れなかっただけかもしれない。そんな事どうだっていいけど。


だからあたしは人を好きになる感情を、よく知らない。


もしかしたら記憶を失くす前に付き合ってる人がいたんじゃないか、という考えが頭をよぎった事もあるけど、そんな人がいたらお見舞いに来てくれたり連絡くれたりしただろう。




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