もう一度あなたに恋をした。
はー…まだドキドキしてる…
声を聞く度、キュンってなる。
笑顔を見る度、嬉しくなる。
目を見る度、胸が締め付けられる。
それがなんなのか、よく分からないまま
高鳴る胸を押さえながら歩く。
マフラーを巻きながら、すっかり寒くなった夜空を見上げる。
わあ…!きれい……
目に飛び込んできたそれは、眩しいぐらいに輝く満月。
スゥーッと新鮮な空気を目一杯飲み込んで優しく吹き出せば、白く儚く消えていく。
そんな誤魔化しは無駄だよ、と言うかのように…いつまでも止まない鼓動。
頭の中は、もう佐伯くんの顔しか浮かばない。
「…気のせいだ。うん、絶対そうだ。」
誰にも聞こえないようにそっと呟き、マフラーに顔を埋める。
時折吹き抜ける冷たい風が心地良く感じてしまうのは、多分、あたしの顔が真っ赤だから。