会社で恋しちゃダメですか?
「俺が一生懸命我慢してるのに、君はほんとに、もう……」
山科は右手で自分の髪をくしゃくしゃとかき回す。
「部長?」
園子はどうしていいか分からず、山科の顔をのぞき込んだ。
山科が顔をあげる。園子の瞳をじっと見つめた。
それから、園子の濡れている左頬から首の後ろに、手を差し入れる。
指が頬に触れると、ビクっと身体が震えた。
「触れてしまったら、離せなくなる。分かってたから、我慢してたのに」
山科は園子の右腕を強く掴み、首の後ろを引き寄せる。
山科の唇が再び園子に近づいて、園子は慌てた。
「わ、忘れたほうがいいなら、もうやめてくだ……」
園子は目をぎゅっとつむって、小さな声で抗議する。
「俺が……」
彼がしゃべると、暖かい呼気が園子の唇の端に当たる。園子の身体が緊張で固まった。
「俺が、忘れられないんだ」
そう言って、山科は再び、園子に口づけた。