会社で恋しちゃダメですか?
山科は身体を起こして、園子に向き直る。それからブラウスのボタンに手を伸ばした。園子は思わず胸元に手をやる。
山科は静かにボタンをとめ直した。
「やるせなさを、君で埋めようとした。申し訳ない」
「いいんです」
園子は首を振る。
「でも無理強いしたから……」
「わたし、身体を触られることに、抵抗があるんです。側にいたいと思っても、恐ろしさが先に出てしまって」
園子がしゃべるのを、山科はじっと見つめる。
「だから、部長が無理を言ったわけじゃなくて、わたしの問題なんです。わたしも今日、部長の側にいて夜を過ごしたいって、そう思ったから来ました。だから、無理強いじゃありません」
山科が優しく園子を引き寄せる。先ほどの熱気は薄れて、園子のガチガチだった身体が柔らかくなった。山科が頭をなでると、安心が増してくる。
この人のためになりたい。
たとえ離れることになっても。