会社で恋しちゃダメですか?
「部長」
「何?」
ほのかな明かりのなか、二人はソファの上で寄り添う。
「無理って言うの、やめません?」
園子は思い切ってそう言った。
首のあたりの髪を弄んでいた指先が、ぴたりと止まる。
「部長は優秀です。お父様もそれは充分承知していらっしゃる。まだチャンスはあります」
園子は力強くそう言った。
「君の買いかぶりだよ。信じてくれるのは有り難いけれど」
「いいえ」
園子は身体をまっすぐにして、山科に向き合った。
「TSUBAKIの望むものは、利益ですよね。違いますか」
社長の言葉が頭の中で繰り返される。
「お嬢さん、ビジネスだよ」
そう言う声が聞こえる。
「竹永が存続することで、TSUBAKIが得をすればいいんです。わたしにはどうしたらいいか分かりませんけれど、部長なら考えられますよね」
山科が真剣な顔をした。
「部長は社長に直接掛け合うことのできる縁がある。それは誰にでもあることじゃない。部長だからできることです」
山科が猛スピードで考えているのが、表情から分かった。
「あきらめないで。部長ならできます」
山科が右腕でぎゅっと園子を引き寄せる。身体から山科の情熱が溢れてくるのがわかった。
「池山さん、やっぱり君は、俺をわかってるな」
そう言った。