会社で恋しちゃダメですか?


「クリームを海外に紹介してくれて、ありがとう」
山科が言う。


「勘ぐらないでね。竹永の社員達をびっくりさせてしまったことへの、罪滅ぼしの気持ちでやったわけじゃないから。本当にいいと思ったから友人に勧めただけ」


園子に向く。「言ったでしょ。ずっと愛用してるって」


「明日、引っ越しのトラックが来るから、朝から騒がしいかも」
「わかった」


山科が手を差し出す。


「ありがとう。日本へ戻って来たら、連絡くれよ」
「あはは。だめだってそんなこと言っちゃ。あなたのことをあきらめるのに、まだ時間がかかりそうなの。それに……」
あおいが笑う。


「池山さんが妬いちゃうわ。彼女大切にしてあげて」


あおいは差し出された山科の手を取らず、かわりに手を振る。


「じゃあね」


あおいはそう言って、隣の部屋へと戻っていった。


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