会社で恋しちゃダメですか?
エピローグ
園子は段ボールを抱えて、階段を上る。
指には、光る指輪。
「持とうか」
後ろから声をかけられる。
「いえ、社長には持たせられません」
園子は首を振る。
「妻を手伝うのは、夫の仕事だよ」
山科はひょいっと段ボールを受け取った。
「ありがとうございます」
「会社だとよそよそしいな」
「会社ですから」
園子はすました顔でそう言う。
それから二人で笑い合った。
昨日と今日は、同じようでいてまったく違う。
段ボールの影に隠れて、キスをした。
だって、今日からは、二人で歩いていくのだから。
【完】