会社で恋しちゃダメですか?


「どこ? ここ」
園子はゆっくりと身体を起こし、周りを見回した。


広い部屋。大きな窓。そこからスカイツリーが見える。
今日は、晴れ。
高層階らしきこの部屋に、あたたかな太陽の光が差し込む。


ダブルベッドに、ほわほわの毛布。クリーム色の壁には、おしゃれな絵が飾られていて、窓と正反対の壁側には大きなクローゼット。


ふと自分の胸元を見ると、大きなパジャマが着せられている。
誰のパジャマ? どうみても、男性用……。


現実を認識しはじめると、不安が募ってくる。
これって、どういうこと?
まさか、そんな。嘘でしょ。


園子はベッドからそっと降りてみる。見るとむき出しの自分の脚。慌ててショーツを確認して、履いてることにほっとした。


園子は自分の衣類を探したが、部屋のなかには見当たらない。
パニックが襲ってくる。どうしよう、これじゃ逃げ出せない。


園子は扉をじっと見つめる。
あそこから外に出なくちゃいけないのに、その勇気がでない。


バタンッ。


突然扉が開いた。


まるで心臓が爆発したかと思うほどびっくりして、思わずベッドに尻餅をつく。


「おはよう」
山科部長が言った。


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