会社で恋しちゃダメですか?
「危ない?」
「ほんと、覚えてないんだね」
山科はベッドに手をついて、脚を組んだ。
「ウーロンハイを飲んだことは覚えてます。それから……」
園子はフル回転で昨日のことを思い出そうとするが、もやがかかったみたいになかなか映像がでてこない。
「池山さん、突然笑い始めちゃって。危ないから帰したいけど、誰も家を知らないんだよ。米崎さんが自分のアパートに連れてかえるっていったんだけど、もう理性の箍が外れちゃったみたいで、何か言うんじゃないかってはらはらしたからさ」
「ああ……」
園子は合点がいった。酔っぱらってまずいことをしゃべったりしないように、みんなから引き離したんだ。
「すいませんでした」
園子はなさけなくて恥ずかしくて、深々と頭を下げた。
「帰ります」
園子がそう言うと「その格好で?」と山科が訊ねた。
そこではたと、なぜ服が変わっているのか、疑問に思った。
「あの……服……」
「クリーニングに出したから、お昼過ぎまで帰れないよ」
「クリーニング?」
園子の目が点になる。
するとまた、山科が爆笑しだした。よほどおかしいのか、ベッドの上に転がって、ばたばたと脚を動かす。
「部長っ。なんです?!」
園子は顔が赤らめて、ベッドを毛布を握りしめた。