会社で恋しちゃダメですか?
園子はぱたぱたと山科のところに駆け寄った。
「部長、新幹線が止まってます」
「復旧は?」
「未定なんです。電気系統の事故だそうです」
「……そうか」
部長はどうしようかと困った顔をした。
「普通列車、見てみましょうか」
園子は、自分の携帯で路線検索をかけて、あぜんとした。
「あの、帰れません」
泣きそうな声で、そう告げた。
「今夜は長野ですごそう。明日は日曜日だし、大丈夫だ」
山科はそう言うと、近くのビジネスホテルを調べ、片っ端から電話をかけ始めた。
「そうですか、じゃあ予約をお願いします」
山科はそう言うと、園子に「タクシーにのろう」と言う。
「駅前は、この騒ぎで全部埋まってた。タクシーで三十分のところのホテルが空いてたから、そこに行こう」
山科はそう言いながら、園子を連れてタクシー乗り場へと急いだ。