会社で恋しちゃダメですか?
ほんのすぐ側にあった山科の気配が、ふっと遠ざかる。園子からも手を離した。
園子は静かに目を開く。
山科は上半身を起こして、右手で頭をかかえていた。
「ほんとうに、まいった……俺がききたい」
山科はそう言うと、「やっぱり、寝よう。明日、早い電車で帰るから」パチンとナイトランプの明かりを消す。
暗闇の中、山科が園子に背を向けた。
まるで息を潜めているように、ぴくりとも動かない。
園子は爆発しそうな胸に手をあてる。それから山科に背を向けた。
暖かさの残る、二人の間のシーツ。
園子は両手で身体を抱くと、身を縮めた。
やっぱり、今夜は眠れない。
園子は目を閉じて、静かに時間が過ぎるのを待ち続けた。