会社で恋しちゃダメですか?
四
週明けのオフィス。
ゴールデンウィークは目前。寒さは完全に遠のき、太陽の下に出ると汗をかくほどの暖かさだ。
「出張、大丈夫だったか?」
出社してきた朋生が、園子に声をかける。
「う、うん」
園子は頷いたが、多少の不自然さは消せない。
朋生の顔が瞬時に曇る。それから部長席を振り返り、問うような目線を園子になげかけた。
園子はうつむいて、何も言えない。
消せない気持ちがある。
たとえ朋生との時間を増やしたとしても、あの瞬間に感じたものは忘れられない。
朋生はまじめな顔をして、すとんと椅子に腰掛けた。机に肘をついて、溜息をつく。
「おっはよーぅ」
長期の休みを前にして、うきうき気分の紀子が出社してきた。
でも二人の様子をみると、「おっと」と言って、口をつぐむ。
「お通夜みたいな席ね、ココ」
紀子が口を尖らせて、そう言った。
「ちゃんと二人で話なよ、余計なお世話かもしれないけど、気持ちを推し量ってくれっていうの、お互いにいいことないから」
「う……ん」
「特に、園子ね」
紀子は言うと、「さ、仕事仕事」と言いながら、コンピュータの電源をつける。
それから「あっ」と声をあげた。
「大ニュースがあるんだよ!」