【短編】甘い薬
―ガチャッ! バタバタバタ―――
勢いよく雅哉の家の扉を開けて、雅哉がいるらしき寝室へ駆け込む。
風邪が悪化してたらどうしよう、なんていう考えが頭から抜けずに不安が心を占める。
寝室の扉を開けると、ベッドに静かに寝ている雅哉が見えた。
「・・・もっと、静かに入ってこいよ・・・。うるせぇ・・・。」
いつもなら怒鳴る雅哉が、今日はつぶやくような声で瞳を閉じたまま言う。
相当身体がだるいんだろう。
途切れ途切れに話す言葉からも辛さが伝わってくるくらいに。
というか、よく考えたら病人の部屋にバタバタと入り込む私ってかなり迷惑だったよね・・・。
って、今はそんなこと考えてる場合じゃなくて。