【短編】甘い薬
「ゼリーくらいなら・・・食べれるかも。」


「そう?よかった。はい、ゼリー。コレ食べたらちゃんと薬飲んでね?」




ゼリーを渡した時に少しだけ触れた私の手と雅哉の手。


ほんの少し触れただけでもわかるくらい、雅哉の手は熱かった。


ピピピっと鳴った体温計を雅哉から受け取って見てみる。




「・・・何度?」


「38.9度。辛いはずだよ・・・。」




こんな高い数字、滅多に出ないよ?


一体どれだけ無理してたんだか・・・。







私がジーッと体温計の数字と睨めっこをしているうちに、いつの間にか雅哉はゼリーを食べ終えていた。


“おい”って言いながら空の容器を私に渡してきた。





「じゃあ薬飲んでおとなしく寝てね?」
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