【短編】甘い薬
「・・・そばにいろよ。」
風邪ひいた時もやっぱりその口調は変わらないんだね。
だけどなぜかそんな口調も今日は愛しく感じて。
思わず顔が緩んでしまいそう。
「ん。じゃあ、ここにいる。・・・だから早く薬飲んで、風邪治してよね?」
そう言うと、雅哉は小さく頷いておとなしく薬を飲んだ。
飲み終えるとコップを私に渡して横になった。
私はコップとかゴミとかを片付けようと寝室を出ようとした。
・・・けど、後ろが何かに引っかかり前に進めない。