君と家出中…

外に出ると


冷たい風で前髪が浮いておデコが全開になった。


一気に顔が冷える。


『うっわ!さみー!』



体を丸めながら出てきた遼が、私を見てまた笑う。


『ハハ!今度は赤鼻のトナカイか!』


私は慌てて手で鼻を隠す。



『おら!巻いとけ!』



遼は巻いていたマフラーを私の頭にかけ、首を一周させて顔の前で結んだ。


目以外が覆われて、多分覆面レスラーみたいになっているんだろう。



自分でやったくせに、笑ってる。




だけど私は怒るのを忘れるくらい



マフラーから匂う香水の甘い香りに、胸がきゅっと苦しくなった。


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