君と家出中…

気持ちの整理がつかなくて、廊下でうずくまっていると、遼の声がした。



『杏!何してんだよこんなとこで!あいつら先帰ったぞ』




『なかった…』




『は?』




『スマホの電源入れたら、誰からも着信がなかったの!』




『なにお前、親心配させたくて家出してんの?』




『違うけど…』




『はっはーん!さてはホームシックだな?』







膝に顔をうずめたまま反応しない私の頭を遼が優しく撫でた。



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