幼なじみがイケメンをこじらせたんですが。
 クラッシック音楽のコンサートで、指揮者が着るような、黒い服。


 普通のスーツより高価(たか)そうな黒衣に、白手袋の男の人がこっちに向かって手を振ったから!


 ん? こっちに向かって……って、それは、わたし……と回りを見回して、ちょっと違った。


 どうやら、わたしの隣で、手を振り返しているヒトがお目当てみたい。


 ……って、そいつは。



「ゆっ……雪村 希良……!」



「はぁい。
 加藤君ってば、ナイスタイミング♪」


 わたしにフルネームを呼ばれて返事をし、そのあと。


 セリフの最後に、音符マークが見える勢いで、学校駐車場からこっちに向かって歩いて来るらしい『加藤』さんとやらに応えたのは。


 朝から、ずーーーっと、学校中をお騒がせしている、転校生の希良だったんだ。

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