うさぎと恋

桜の花びらがはらはらと散る春

私、宇佐美 花(うさみ はな)は高校生になりました
そして、
ある人と出会いました



「はぁ、人がいっぱいで疲れた....」

昼休みを迎えた今、いたるところに人が溢れている


私は、その人混みから逃げるように、あの場所へと向かった


入学式の日に偶然見つけた裏庭
桜の木が1本、忘れ去られたようにひっそりたたずむその場所は、なんだかとても懐かしく温かい気がして、瞬間的に気に入った

昔から人見知りが激しくて、人気のない場所が好きだったのもあるかもだけど....


「あれ?」

だ、誰かいる
っていうか寝てる??

どうしようと考えた末、
私はそっと近づいて顔を覗きこんだ

「綺麗…」

ふわふわと春風に揺れる柔らかそうな髪、長い睫毛、白い肌、薄い唇

お人形さんみたいな男の子


パチリと開いた瞳は吸い込まれそうなほど澄んでいて…開いた瞳?

「どちら様…?」

ぎゃあぁぁあっ!!起きた!!
どどどどどうしよう!?

「ご、ごめんなさい!!お邪魔しました!!」


私は全力でその場から逃げた





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