海賊王女と無敵な人魚の王子さま

 そう思って、自然と顔がほころべば……少し気が緩んだのかな?


 わたしは、いつの間にか、アヴェルスの腕の中で、すぅっと意識を失いそうになって、慌てて意識を保った。


 海の中は、アヴェルスの腕の中にいるのと同じだし。


 実際にアヴェルスに抱き締められている今、何も怖いコトはない。


 息も、彼の口づけで満たされて、苦しくなかった。


 ただちょっとの間、息を止めているだけでいい、なんて。


 先程まで火薬の臭いのする船上の戦場に比べれば、全く何の不安もないのと同じだ。


 その緊張感の落差に、ほっとしたのかな?


 けれども。


 まだ、紅の自由号の上では、戦いが続いているはずだった。


 船から落ちる間際に、魔法が完成して、目で確認できた銃は全部使えなくなっているはずだし。


 銃さえなければ、紅の仲間たちは、絶対負けるはずは無いって信じているけれど!


 もしかしたら、まだ残っているのもあるかもしれない。

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