海賊王女と無敵な人魚の王子さま
「……会話を許す。用向きを聞こうか」
震えそうな声を呑みこんで、なるべく冷静に声をかけると、近衛騎士団の団長が更に頭を深く下げて言った。
「夜分遅く、おくつろぎの所、申し訳ございません。
我がフロンティエールの花、イリス姫さまにおかれましては、今宵もまた、一段と美しく……」
「前置き(それ)は、良いから。
……何しに来たの?」
長々しい常套句(じょうとうく)を、聞いていられるほど、心に余裕、なんて無く。
騎士団長の話の腰をぽっきり折って聞けば、彼はようやく本題に入ってくれた。
「……新しい『鳥』を連れて参りました。
これから、姫さまに一番近く仕える者です。
どうぞ、お見知りおきを……」
そう騎士団団長は言うと、自分の左側に控えた鳥の仮面を被った黒マントのヒトの背を押した。
すると『鳥』は仮面を取らないまま。
まるで本物の翼のように、一瞬マントを翻し、また静かに頭を垂れた。
震えそうな声を呑みこんで、なるべく冷静に声をかけると、近衛騎士団の団長が更に頭を深く下げて言った。
「夜分遅く、おくつろぎの所、申し訳ございません。
我がフロンティエールの花、イリス姫さまにおかれましては、今宵もまた、一段と美しく……」
「前置き(それ)は、良いから。
……何しに来たの?」
長々しい常套句(じょうとうく)を、聞いていられるほど、心に余裕、なんて無く。
騎士団長の話の腰をぽっきり折って聞けば、彼はようやく本題に入ってくれた。
「……新しい『鳥』を連れて参りました。
これから、姫さまに一番近く仕える者です。
どうぞ、お見知りおきを……」
そう騎士団団長は言うと、自分の左側に控えた鳥の仮面を被った黒マントのヒトの背を押した。
すると『鳥』は仮面を取らないまま。
まるで本物の翼のように、一瞬マントを翻し、また静かに頭を垂れた。