海賊王女と無敵な人魚の王子さま
 死……なんて。


 考え得る限りの不吉な言葉に、息をのむ。


「ニーナの傷は、本来ならわたしが受けるモノでした。
 それなのに、ニーナの様子を何も知らないまま……知ろうとしないまま、新しい鳥を迎え入れることなんて、できません。
 せめて、一度見舞いに行かせて……!」


「なりません、姫さま。
 前の鳥のことは、お捨て置きを。
 お忘れを」


「できません!」


 騎士団長の言葉に叫んで、わたし、湧き上がってくる怒りのままに、椅子を蹴立てて立ちあがっていた。


 フロンティエールは、幾つもの州に別れている。


『魔法を使う』という共通項の他は、全く別な個性ある州をそれぞれ各領主が治め。


 更にその領主を治めているのが、フロンティエール王家だ。


 父は『フロンティエール王』として君臨し、巨大な権力を持っている。


 母の身分は低かったけれど、父がわたしを溺愛してるから。


 わたし。


 どんなわがままも、聞いてもらえるはずだった。
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