雨音
 あの日から私と真人くんの距離が縮まった、と言うと別にそうでもなかった。

 話す回数も1日1回には変わりが無いし、目が合うこともそんなに無い。

 でも、「バイバイ、また明日。」とか「おはよう。」とか誰にでもする挨拶でもとても嬉しいかった。

 話したいけど共通の話題が無いから会話が続かない。

 好きな食べ物、嫌いな食べ物、趣味、どれも真人くんと同じものが無いのについ目で追ってしまう。

 「なんで、好きになったの?」って友達の佐奈ちゃんに訊かれたことがあるけど自分でもよく分からない。

 仲のいい男子なんていないのに何で真人くんだったのか。



「歌乃。・・・ねえ聞いてる?」

「ん・・・ごめん。」

「最近ボーっとしすぎじゃない?何かあった?」

 自分でもボーっとしすぎているのは判っている。その原因も。

「・・・雛ちゃん。」

 雛ちゃんは、小学校からの唯一の友達。

「何かあったら隠さず言ってよ~?」

「うん。また今度話す。」

 雛ちゃんには頼ってばかりで、私も何か手伝えることがあったら頼ってほしい。

 でも、今は恋愛で忙しいなぁ。

 雛ちゃんは好きな人とかいないのかな?
 

 もし、好きな人がいたら教えてね。私も教えるから。
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