雨音
 放課後。今日の部活は、顧問の先生が用事があるため休みだった。

 なんとなく帰る気になれず、図書室に寄ってから外に出た。

「歌乃?」

 背後から声がしたため振り返ると幼馴染の七瀬紫雨がいた。

「しーちゃん。」
 
「まだ帰ってなかったんだ。」

「しーちゃんこそ、帰宅部なのにどうしたの?」

「あぁ。俺は・・・」

 しーちゃんはグラウンドを指差した。

「野球部・・・見てたの?」

 しーちゃんは何も言わず、グラウンドの近くのベンチに座った。

 私もしーちゃんの隣に座った。

「ねぇ。」

「ん?なに。」

「校外学習、行くでしょ?」

 何が可笑しかったのか、しーちゃんは小さく笑った。

「もちろん行くよ。だって真人と同じ班だよ?歌乃、絶対気になるでしょ。」

「う・・・まぁ。てゆーか同じ班だったんだ?」

「はははっ。歌乃は真人しか見てないもんな。」
 
 何それ。まるで私が真人くんのストーカーみたいじゃない。

「歌乃。」

「・・・何?」

 私は少し不貞腐れた言い方をした。

「楽しみだね、校外学習。」
 
 しーちゃんは意地悪そうな笑顔で言った。

「ハイハイ。ソウデスネ。」
 
「真人と話せるといいな。」

 


 

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