殺人ごっこ
マウスを左右に動かす。
1階から聞こえる母さんの鼻歌が、小さくなっていく。
窓から、幸乃が走っているのが見えた。
僕から離れていく、小さくなっていく、見えなくなっていく。
段々、パソコンだけに神経が集中していく。
幸乃は僕がもう、退会したかと思ったみたいだけど、本当はしていない。
いや、できないんだよ。
登録してしまったからには、退会はできない。
それがこのサイトのルールなのだから、仕方がない。
それに、それを知っての行為なのだから、それなりの覚悟はある。
ごめん、幸乃。
僕は君を裏切った。
けれど、それほど僕の気持ちは強いんだよ。
分かってくれ。