殺人ごっこ
2nd 鍛錬開始
「おはよう、凛太郎。昨日は大丈夫だった?」
「うん、おかげさまでね」
朝起きると、玄関に幸乃が立っていた。
いつもは変な目で見られるのが嫌だと言って、同じ時間の登校を避けていたのに。
「今日は健太君たちに絡まれなきゃいいね」
「多分、無理だけどね」
なんでだろう、今日はとっても心が軽い。
足取りも軽い気がする。
きっとそれは、【manslaughter】という大きな味方がついたから。
「凛太郎、今日はやけに機嫌いいじゃねえか」
「うん、おかげさまでね」
怯えることもなく、その前を平然と通り過ぎる。
まだ何の説明も受けてないというのに、とても莫大なことが僕に味方づいたような気がした。
そんな態度に気付いてか、今日は健太君たちは僕に手を出さなかった。
「珍しいこともあるのね。嬉しいことでよかったけど」
「うん、平穏すぎてちょっと怖いかも」
隣で幸乃が小さく笑ったので、僕も笑い返した。
こんな平穏な生活、何ヶ月ぶりだろう。