殺人ごっこ
「でも、僕も自分の好きにしたいよ……」
「凛太郎、なんで分かってくれないの? あたしは、凛太郎の為にしているのに……」
お節介なんだ、そういうの面倒なんだ。
とても悲惨に叫んでいる幸乃にそう言うのは、難しかった。
とりあえず僕は、幸乃を落ち着かせるためにお茶を出した。
相変わらず母さんは、寝ているままだった。
「それに、どうしたの。いきなりさ」
「あたし……置いていかれるのが怖くなった……凛太郎、お願い、離れないで……」
幸乃は肩を震わせて、僕の胸に嘆いた。
その姿はあまりにも惨めで、さっきまでの酷い心は忘れていった。
「どうしたの、幸乃。なんか、あった?」
心配そうにそう言うと、幸乃が此方を向いて小さく言った。
「あたし、凛太郎が好きなの」