殺人ごっこ
「か、母さんっ?!」
勢いよく、さっきまで母さんの寝ていた居間へと駆け込んだ。
お母さんは――
――いた
さっきまで寝ていたみたいだ。
迷惑そうに目を開けて、「んん……どうしたの、凛太郎」と呟いた。
良かった。
生きていた。
何もされていない。
良かった。
「ふ……うわあ……ん……母さんのっ……馬鹿っ」
僕は小学6年にもなって、母さんに泣きついた。
恥ずかしさなんて、プライドなんて、今の僕には関係なかった。
この温もりが失われるなんて、考えたくもなかった。
「なんだい、この子は。いい年にもなって……ねえ」
母さんは優しく僕を抱き締めてくれた。
良かった、本当に良かった。
僕はその言葉と嗚咽を何回も繰り返していた。