殺人ごっこ
「なに、このサイト」
その声を聞いたとき、もう駄目だと思った。
腕の力だけで登っていたのに疲れ、階段の上で溜め息をついた。
――見られた。終わりだ。
「あんた、何見ていたの」
だがこの母さんの声で、少しだけ希望が出てきた。
僕は解け始めた足で残りの2段を登り、パソコンの前へと駆け込んだ。
そこには真っ黒なページに赤い文字で書かれたスペースがあった。
所々に写真などが貼り付けられ、見た者は息をのむだろう。
――それなのに、なんで?
「え、何って……」
「真っ白じゃない。どこもかしこも」
見えてない?
そんなはず、ない。
けれどまずは此処の部屋から、母さんを出さなくてはいけない。
不可解な謎を解くのは、後からだ。
「ん、ああ……フリーズしちゃったみたい。直しとくから。母さんもう夕飯作らないと、
父さん帰ってきちゃうんじゃない?」
「ああ、そうね。直せるんなら、いいけど」
母さんはそう言うと、大きな音を出しながら階段を下っていた。
どうして、どうしてなんだ。
僕には見えて、母さんには見えない?
有り得ないだろ、そんなこと。