殺人ごっこ
「取り乱しちゃって……すごくパニくっちゃった」

「あ、うん……」

「それで、返事……考えてくれた?」


これだから、嫌なんだ。

そんな目で見つめないでよ。

そんな顔で見つめないでよ。


どうして、そんなに、だって。


断れるわけないじゃん。

愛しい幼馴染みからの告白、この関係を崩そうなんて誰が考えるか。


「うん……」


幸乃がしっかりと僕の目を捕らえた。

けど本当は、こんなこと言うのは嫌なんだ。

だって、妙に幸乃を期待させることになるじゃないか。
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