殺人ごっこ
「凛太郎! どうしていつも、こんなに遅いの? そのうえ、この頃はお隣の幸乃ちゃんも……いつも、泣いて帰ってきているそうなのよ」
分かってるよ、けど、無理なんだもん。
防げないんだもん。
僕は帰ってくるなり母さんに罵声を食らった。
「幸乃は……」
「貴方、変なことしているんじゃないでしょうね!」
「し、してないよ! そんなこと、するわけないじゃん!」
ひどい、そんな目で見ていたんだ。
母さんも、味方だと思っていたのに……。
僕は靴を脱ぎ捨て、自分の部屋へと走った。
「母さんの馬鹿! 母さんが……こんな風に産むからいけないんだ!」
もっと強い男の子に産んでくれれば、幸乃を守れるし、健太君にも苛められなかった。
どうして、どうして。
「味方は、幸乃しかいないんだ……現実では、みんな敵だ」
どうして僕は、こんなちっぽけな人間何だろう。
もう少し勇気があって、力が強くて、恥ずかしがり屋じゃなかったら、もう少しマシな人生を歩めたかもしれない。
けれどまだ小学6年生……もしかしたら、やり直せるかもしれない。