殺人ごっこ
 
「ちょ、也村健太って、僕のクラスメートなんだけど……」


僕はパソコン相手に話していた。

けれども返事は文字と情報化されて返ってくるわけで、とても不思議なやり取りであった。

どうしてこんなことが出来るのか、そんな疑問は「也村健太を殺す」という驚きの言葉で消え失せてしまった。


【だから、殺すのです。貴方様をいじめていた人でしょう】

「けどっ……僕はそんな……クラスメートを殺すなんて……それに僕、健太君とご近所だし……」

【いじめている、貴方を苦しませているから殺すのです。それにより貴方は、絶対的な精神の強さを持つことでしょう】


殺人、それはいけないことだ。

殺人、それは犯罪だ。

いくら僕が小さいからといって、これが犯罪にならないわけがない。

それがいじめっ子であったとしても、近所でありクラスメートである者を殺すなんて無理だ。


けれどそれによって自分が強くなれるのであれば。

自分が苦しまないのであれば。
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