殺人ごっこ


「本当にどうしたの、凛太郎」

「夢、を見たんだ。幸乃を失う、夢」


いや、それは今夜本物になってしまうんだろう。

学校帰り、公園のベンチに肩を並べて座った。


「失わせないわよ、あたしもずっと凛太郎の傍にいたいもの」

「違うんだ、奪われる……夢。無理矢理、奪われる夢なんだ」

「そんな理由で。大丈夫、正夢になんかならないわよ」

「そうかな」


僕は静かに呟くと、幸乃の胸に顔を埋めた。

「ひゃっ……」

その途端幸乃が飛び上がる。


「――今日だけ……今日だけ、こうさせて」


もう、その恥ずかしそうな顔も、嫌そうな顔も、嬉しそうな顔も、見られないんだ。


「凛太郎……泣いているの?」


僕か幸乃、どちらかが今夜死ぬんだ。

朽ち果てるんだ。


僕はどちらを選択すればいい。

これは決して通らなければいけない道。

避けることは出来ない。


幸乃か、僕。


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