殺人ごっこ
「ゆき……の?」
「愛してる、凛太郎」
少しの間だが、しっかりと触れた唇は今も疼いている。
つぶらな瞳が僕を捕らえる。
「夕方言ったのは、本当よ。だから、逃げなかった」
瞳から溢れる、涙。
抑えられないほど出てしまった。
「でも……幸乃、死ぬんだよ?」
「うん、言ったじゃない。本望だって」
「けど……死んだら、無になるんだよ?」
「分かってるわよ、それくらい」
「それなら、そんなこと言うなよ!」
殺されてもいいなんて、そんな悲しいこと。
言わないでくれ……。