殺人ごっこ

僕の手首から血が溢れ出す。

痛い、じわじわと痛みが染みってくる。

ああ、なんだか頭が重い。

意識がかすかに薄れる。


「なんの足しにもならないけど」


君はこの何倍もの痛みを感じたんだろう。

ごめんな、痛い思いさせちゃって。


「あ……そういえば、報告してこなくちゃ」


ちゃんと殺したって言わなきゃ。

この幸乃の死を無駄にはしたくはない。


僕は意識が朦朧としているせいか、幸乃の死体処理も忘れて家まで走った。

いつもより息が上がる。

家につくと、母さんも父さんも、ぐっすりと寝ていた。

その寝顔を見ていると、何故か辛くなってきた。


居間を通り過ぎ、自分の部屋へと階段を駆け上がる。

手首の痛みは次第に全身へと伝わる。


僕の部屋では、パソコンが光っていた。

ああ、僕の部屋。

いつもどおりだ。
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