腹黒教師の甘い策略
7年越しのうわごと



「体調不良……?」


「はい。今朝電話でそう言ってましたよ。」



もう残りわずかとなった髪を触りながら、飄々とそう言った教頭。


谷崎が体調不良……。

今日は朝から谷崎の姿を見かけないと思い、教頭に聞いてみると、体調不良で休みたいと電話があったらしい。
普段から一切プライベートのことを悟らせようとしない谷崎だから体調を崩してるところなんて想像できない。

そんなことを考えながらも、本音は顔に出ているようで、



「そんなに気になるなら、お見舞いにでも行ったらいいんじゃないですか?」


「いや、別に気になってなんか……っ」


「隠そうとしたってバレバレですよ。顔に書いてあります。」


そう言って、蛍光灯に照らされ光る茶髪の髪を揺らしてふわりと可愛らしく笑った隣のデスクの安野先生。

谷崎を見るたびに嬉しそうに寄っていってたから、てっきりこの子もフェロモン教師に落ちたんだと思ってたけど……


私にお見舞いを勧めるところを見る限り、谷崎のこと好きじゃないの?



「谷崎先生が好きというよりは、イケメンが好きなんですよ。良い目の保養ですよね。」



不思議そうな顔をする私に気づいたのか、心を読む能力があるのか、安野先生はまたあの可愛らしい笑顔を浮かべてそう言った。

……なるほど。安野先生が“天使の皮を被った小悪魔”なんてあだ名をつけられるのがよーくわかった。




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