腹黒教師の甘い策略
「お前と一緒のやつなら何だっていい。」
「……またそんなこと言って、はぐらかすんだから。」
「本気だよ。」
真剣な顔でそう言ってみるも、有沢は納得いかないという顔で俺を見つめる。
いつもなぜか本心が伝わらない。日頃の行いのせいか。
少し悩んだが、さっきまで嬉しそうにカップを選んでいた有沢が急にしおらしく、照れる様子を見て、自分でも驚くくらい悩んでいたことが吹っ飛んだ。
結局、黄色のカップを有沢が、青い方を俺が、ふたりで色違いのものを使うことにして、支払いを済ませ、店を出た。
有沢の手を取ってふたり並んで歩く。繋いだ手から体温が伝わり、その熱をもっと感じたくて、さらに力をこめた。
「何?今度はなに考えてるの?」
「知りたいか?俺が考えてること。」
「……そんな風に聞かれると気になる。ちょっとだけ!」
ふんっとそっぽを向いてしまった有沢に思わず吹き出してしまった。
……本当意地っ張りなやつ。本当は気になって仕方ないくせに。
さっきから、ちらちらと俺の顔色を読み取ろうとしている姿にまた口許が緩む。
不機嫌そうにそっぽを向く有沢の手をひいて、少し歩くスピードを速めた。
「ちょ、ちょっと!谷崎、急に速くなって、どうしたの?」
「そうかそうか、有沢は俺が考えてることを常に知っておきたいぐらい俺のことが好きなんだな。」
「はい!?
勝手に変な解釈するな!」