カムフラージュの恋人
そうして私たちは、私の勤務先じゃない、とあるデパートの香水売場にやって来た。

「あら。いらっしゃい、きよいちゃん」
「あぁ!高田さんいてくれたぁ!」
「どうしたー?」
「実はですね、私の友だちが、ジャスミンの香りがする香水を探してまして」

私は高田さんに言いながら、隣にいる二宮くんを紹介するように左手で示した。

「なるほど。女性用でよろしいんですよね?」
「あぁはい」
「彼女へのプレゼントだそうです」
「あ、そう。こちら、きよいちゃんの彼じゃないの?」
「違います!」
「二人声揃えて全力否定しなくてもいいじゃないの・・・」と高田さんはブツブツ言いながら、私たちに椅子を勧めてくれた。

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